「な、何だ」

 見慣れない表情に、ヴィアベルは狼狽える。

「今の……妖精さんの魔法?」

「そうだが」

「妖精さんの魔法ってタイカが必要なんでしょう? おじいちゃんが言ってたよ。今の魔法に必要なタイカ、私でも払えるかなぁ? 私、なんにも持っていないの。おじいちゃんやあなたがとても良くしてくれるのに、何も返せない」

 言いながら、ペリウィンクルの目の輝きが失われていくのが見えた。
 ヴィアベルはそれを、もったいないと思った。
 だって、キラキラしている彼女の目は、とても気持ちが良いものだったから。

(月明かりの妖精である自分のそばにこそ、あるべきものだ)