長楕円形の葉に、自分の名前と、茶会の日時、それからガゼボへ入ることを許可する人の名前を書く。
 茶会の日時を三日月の夜にしたのは、ヴィアベルの力が最も強く発揮される時間だからだ。
 ペリウィンクルの願いを全力で叶えるという、ヴィアベルの本気がうかがえる。

「やぁ、ヴィー。今日はえらく上機嫌じゃないか」

 黒い羽を持つ妖精が、ヴィアベルの周りを飛び回る。
 ヴィアベルがうざったそうに手で振り払うと、妖精は「つれないなぁ」とクスクス笑った。

「私の周りを飛び回るな。鱗粉がつく」

「そう邪険にしないでおくれ。寂しいではないか」

 妖精は、ポンと煙を立てて姿を消す。
 代わりに現れたのは、どこもかしこも真っ黒な人だった。
 黒い肌に、漆黒の髪。目は結膜が黒で虹彩が金色をしている。