「そういうわけにはまいりませんわ。さぁさぁ、こんな所で立ち話もなんですから、入ってくださいませ。ペリ、ディル様にもお茶の用意を」

「お、お嬢様⁉︎」

 慌てて部屋へ取って返したペリウィンクルに、ローズマリーはニッコリと愛らしい微笑みを浮かべて言い放った。

「さぁペリ、出番よ。ディル様の趣味を邪魔する不届き者を、懲らしめてやりなさい!」

 正義の味方みたいな台詞だが、ローズマリーは悪役令嬢である。

(悪役令嬢がダメなら、攻略キャラですか……さすがです、お嬢様)

 手段を選ばないあたり、悪役っぽくて最高である。
 ペリウィンクルは遠い目をしながら、ディルのために湯を沸かし直した。