ペリウィンクルには関係のないことだ。だって、モブだから。

(それに、妖精と契約もしていないし)

 そんなことを思いながら、ペリウィンクルは小鍋に水を入れると火にかけた。
 コポコポと水面が揺れて沸騰したことを確認して、火を止める。
 細かくした葉を入れて、砂時計の砂が全部落ちたら、目的のものは完成だ。

「なにをしている?」

 一人きりのキッチンで、突然声をかけられる。
 ペリウィンクルは一瞬だけビクリと肩を震わせて、しかし目に入った青年に安堵した。

 平均身長のペリウィンクルが見上げるほどの長身。見上げた先にあるのは、湖面に映った月光のような目をしたはかなげな印象を受ける美貌。藍緑色をした髪に黄色の蝶がとまっていて、まるで小さなピン留めをつけているようだ。