現に、ローズマリーの箱庭にあるジギタリスだって、毒性がある植物である。
 それを茶にすることはないだろうが、無知とは恐ろしいものだと戦慄するばかりだ。

「それでな、茶を飲む予定だった妖精たちが怒り狂ってな。あることないこと流布しているらしい。例えば……ローズマリーの箱庭を襲った花泥棒は彼女である、とかな」

「え。それ、本当なの?」

「あることないことと言っただろう」

「……本当は?」

「あの女が犯人だろうな。ついでに言うと、今、あの女はトゥルシーという女を手下にして、ローズマリーの箱庭からアルケミラ・モリスを取ってくるつもりだぞ。次のターゲット、ディルのためにな」

 ペリウィンクルは、少し前から感じていた違和感がするすると解けていくような思いだった。
 ローズマリーが花泥棒を見逃し続けた理由、それはヒロインが犯人だと知っていたから。
 最終的には白バラを盗らせて、ソレルに贈らせるつもりだったのだろう。