サントリナとローズマリーの前でハーブ講座を開いてから、ひと月が経とうとしていた。
 存外恥ずかしがり屋な一面があるらしいサントリナは、ハーブティーを差し入れることも、せっかく作ったセントジョンズワートの軟膏を使うことも、できないまま。
 業を煮やしたローズマリーが、

「ペリ! どうにかして、サントリナ様とニゲラ様を妖精王の茶会へ招待してもらえないかしら⁉︎」

 なんて言い出す始末だった。

(でも確かに、あの幻想的な場所で二人きりにでもなったら、それなりに進展しそうではあるよねぇ)

 ローズマリーが焦るのも、無理はない。
 だって、妖精たちの噂によれば、ヒロインは既に次のターゲットへ目標を定めたらしいのだ。
 鈍いニゲラはまだ気付いていないようだが、もしも気付いてしまったら──考えるだけでも恐ろしい。

(おそらく、ニゲラ様は力ずくでヒロインを奪いに行くはず。そうなれば、暴力沙汰は必至!)