その晩のことである。
 ペリウィンクルは、夢を見た。黄色いうさぎがペリウィンクルを訪ねてくる、おかしな夢だ。

 目を覚ましたペリウィンクルは、ローズマリーが訪ねてきたのだと思って確認もせずにドアを開けた。

「お嬢様、何かありましたか──ってあれ? ウサギ?」

 ウサギは、蜂蜜色のくりくりとした目でペリウィンクルを見上げていた。
 かわいらしいウサギだ。黄色の体毛に、チョッキを着ている。

「夜分遅くに申し訳ございません。見ての通り、わたしはウサギでございます」

(ウサギの恩返し? ウサギなんて助けたっけ?)

 ネコに襲われそうになっていたモグラを助けたことはあったけれど、とペリウィンクルが寝ぼけた頭で考えていると、ウサギは前脚をそろえて、お祈りをするような仕草をした。