恋愛にしか興味がないのだろうか。
 
(箱庭系乙女ゲームなのに?)
 
 乙女ゲームの世界だが、そればかりで大丈夫なのかと心配になってくる。
 もちろん、リコリスのことを心配しているわけではない。
 もしも彼女が春の国の王妃になった場合、恋愛至上主義のポンコツだったら目も当てられないという意味で、だ。

 ペリウィンクルはしばし逡巡した後、動いた。
 踵を返すと、借りている物置から自作の栄養剤を取って戻ってくる。
 敵に塩を送るようで癪だが、目の前で枯れそうになっている花々を放っておくことができなかった。

 そもそも、リコリスは敵ではない。
 うまく利用してソレルエンドへ持ち込むためだと苦しい言い訳をしながら、ペリウィンクルは液状の栄養剤を花にかけて回る。