「本当か?」

「嘘をつく意味がないでしょ。サントリナ様はさ、見た目がちょっと男の人っぽいから動揺しちゃっただけだよ。ほら、私ってば男の人とお付き合いをしたこともないでしょう? 言っていて情けなくなるけど、慣れていないからサントリナ様相手でもどうしていいのかわからなくなるのよ。だから、その……好きとか嫌いとか、それ以前の問題なの」

 恥ずかしそうに告げるペリウィンクルに、ヴィアベルはほんの少しだけ溜飲が下がったらしい。
 ガラス玉のような目に、いつものあたたかさが戻ってくる。

「そうか」

 ただ一言、ヴィアベルは言った。
 いつものように、慈愛に満ちた目でペリウィンクルを見つめ、彼女のまろやかな頬を撫でる。

 異性に撫でられているというのに、ペリウィンクルは子猫のように無防備な顔をして身を預けていた。
 甘えられているのか、それとも無神経なだけなのか。

 ヴィアベルはどちらでも良いと思った。
 どうせ行き着く先は同じなのだから、と。