助けを求められて、自己紹介をされた。
 怒涛の展開に置いてきぼりにされたような気持ちになりながら、ペリウィンクルは困った顔で問いかける。

「あの……それで、助けてくれとは一体……?」

 むしろ、助けてもらいたいのは自分の方だ。
 現在進行形で、とても困ったことになっている。

(手を、離してください!)

 もちろん、そんなことを面と向かっては言えない。
 だって、サントリナは美形なのだ。平々凡々としたペリウィンクルは美形に手を握られるなんて経験はないに等しく、滅多にない経験を自ら手放すなんてことが出来ないくらいには、面食いなのである。

 助けを求めてローズマリーへ視線を投げれば、わざとらしいまでにかわいい顔で微笑み返された。
 自分でなんとかしてちょうだいとか、良かったわね、とかそんな声が聞こえてきそうである。