(……ローズマリーお嬢様は、タイミングを計る才能でもお持ちなのかな)

 セリと共に帰宅したペリウィンクルは、目の前の光景にそう思わざるを得なかった。

「遅かったわね、ペリ」

 笑顔で出迎えてくれたローズマリーは、部屋にあるソファへ腰掛けていた。
 テーブルを挟んだ向かいへ腰掛けるのは、見覚えのある人物。もちろん、今世ではなく、前世でだ。
 その人物は、顔を手で覆い隠しながら、膝に突っ伏していた。

(また? またなんですか、お嬢様⁉︎)

 まるでセリの時と同じではないか。
 泣いている悪役令嬢を拾うのは、ローズマリーの趣味なのではないかとさえ思う。

(悪趣味ですよ、お嬢様!)