『江口先輩…』




勇気をふりしぼって声をかけると、

先輩の周りにいる人たちから一気に視線を浴びて

少し怖かった。




「徳永さん。」


先輩の穏やかな笑顔に

涙が溢れだす私。



『卒業………おめでとうございます。』






「ありがとう。てか、なんで徳永さんが泣くんだよ??」


困ったように笑い
先輩は私の肩を撫でてくれた。




『先輩が………いなくなるのが……っ寂しくて…』





本当に


本当に





寂しくて





私はただ泣くことしかできなかった。





先輩の胸元を見ると

もう学ランの全てのボタンがなくなっていた。





もう……
なくなっちゃったのかあ…