宮川さんが私の前に白い封筒を差し出した。
「これは?」
「島崎部長からです。突然のことだったから、きちんと挨拶もできずにごめんなさいって言われてました」
島崎部長……。
いつも優しく接してくれた部長の柔らかい笑顔しか思い浮かばない。
私の【憧れ】の人。
宮川さんからそっと封筒を受け取った。
島崎部長からの封筒は私の手帳に挟んだまま。
読むのがなんだか怖かったから。ひょっとしたら、どうってことない内容しか書かれていないかもしれない。
だけど、今はまだ気持ちを押さえて読むことに自信がなかった。
祖母が亡くなって数日後、悠が言った。
「智と本当の家族になりたい」って。
悠もまたあの店内で祖母の知らせを聞いた時、私と同じ気持ちになっていた。
ジャパン物流を三ヵ月で退職した翌日から、また悠と二人で店で出ている。
馴染みのお客も少しずつ戻ってきてくれて、パスタの茹で上がる白い湯気の中、喧騒の日々。
今週末、二人で婚姻届けを出しに行くと決めていた。
「三番テーブル、通して!」
「はい!」
入り口の外で並んでいるサラリーマンに声を掛けに行く。
ここが私の居場所。
悠と二人で生きていく場所なんだ。
「これは?」
「島崎部長からです。突然のことだったから、きちんと挨拶もできずにごめんなさいって言われてました」
島崎部長……。
いつも優しく接してくれた部長の柔らかい笑顔しか思い浮かばない。
私の【憧れ】の人。
宮川さんからそっと封筒を受け取った。
島崎部長からの封筒は私の手帳に挟んだまま。
読むのがなんだか怖かったから。ひょっとしたら、どうってことない内容しか書かれていないかもしれない。
だけど、今はまだ気持ちを押さえて読むことに自信がなかった。
祖母が亡くなって数日後、悠が言った。
「智と本当の家族になりたい」って。
悠もまたあの店内で祖母の知らせを聞いた時、私と同じ気持ちになっていた。
ジャパン物流を三ヵ月で退職した翌日から、また悠と二人で店で出ている。
馴染みのお客も少しずつ戻ってきてくれて、パスタの茹で上がる白い湯気の中、喧騒の日々。
今週末、二人で婚姻届けを出しに行くと決めていた。
「三番テーブル、通して!」
「はい!」
入り口の外で並んでいるサラリーマンに声を掛けに行く。
ここが私の居場所。
悠と二人で生きていく場所なんだ。



