「厚かましいお願いではあるんですが、もし可能であれば、この三ヵ月の間、島崎さんの会社でお仕事させて頂けませんでしょうか?」

「仕事?奥様が?」

「はい、アルバイト的な感じでいいんです。このまま何もせずにいても時間を無駄にするだけなので、少しでも私が働けばお店の足しにできるかなと思って……」

「いや、被害を被られた方の奥様に働いて頂くなんてできません。もし必要であれば、三ヵ月の収入分はこちらで補填させて頂きます」

「それは、私自身が嫌なんです。安易に全てを頼ってしまうのは……。それよりも、今私一人でお店のために、彼のためにできることをしたいんです。急なことですし、無理を承知でのお願いなのはわかっていますが」

島崎さんは明らかに困っている様子だった。

だって、三ヵ月だけ雇って。しかも被害者の家族を……なんて。

自分でも無茶なことお願いしてるな、と反省するも、一旦発してしまった言葉は今更取り消すわけにもいかない。

母が聞いたら、「また思いつきで勝手に決めてきて!」ってどやされそうだ。

厳しい表情で額に手を当て考えている島崎さんを見ながら、やっぱり無理かとあきらめかけた時、ふいに彼はスマホを取り出し何かを確認して私の方に顔を向けた。