そんなふうに複雑な気持ちはあるものの、蓮との付き合いは順調だった。

 部活がない時は、朝は迎えにきてくれて二人で登校。
 帰りは蓮の部活がない日は一緒に帰ったり、カラオケに行ったりショッピングモールに行ったりした。

 家に帰っても、メッセージのやりとりを何往復もしたり、長電話をしたりと、これだけ見れば仲良しカップルだ。

 蓮がわたしを好きでいてくれるのは、言葉にしなくても伝わってくる。

 香りはしないけど。

 だからわたしは、考え方を変えることにした。
 香らない恋もあるのだと。
 わたしがすべての人間の恋の香りを認識できるとは限らない。

 そう結論を出したら、なんだか気持ちがすっと楽になった。