少し意地悪を言ってみたのだ。

「ごめん」

素直に謝ってくれたので、いつも絶対グラタンを頼むのと言っておいた。

「いただきます……んっ、凄い美味しい」

「だろ(笑)」

フーフーしながらあっという間に平らげる。

「ご馳走様でした」

両手を合わせた。

「ここさ、色々メニューあるからまた来ような」

「うん、グラタンもまた食べたい」

「出ようか」

「うん、あれ伝票がないよ」

「ここはいいんだよ」

「だめだよ、ちゃんと私出すから」

「まあ、言うと思ったけど」

「じゃあ、600円いただきます」

お店の人には敦美のグラタン分しか言われなかった。

「え?」

にっこり店の人は笑ってくれる。

ほら、戻るよと手を繋がれて店を出た。

「今日の家族との食事、ここなんだよ、だから一緒にしてって言ってあったのに」

「え?」

「ここは姉貴の旦那さんの店」

「またびっくりしたよ」

「帰るよ(笑)」

「うん」



駐車場につくとあと10分くらいは話せる時間だった。

「今日会えて良かった、ずっと昨日の事を悪いと思っていて……」

「謝ってくれたからいいよ」

「ありがとう、明日仕事が早く終わったら連絡するな」

「うん、じゃあね」

グラタン美味しかったなぁ……