「お酒の方はどうされますか?」
敦美が声をかけた。
「私は日本酒にするわ」
「僕は……」
敦美は呑んでもいいよとわかる様にニコッと笑った。
「じゃあ、同じものをお願いします」
「はい、お持ちしますね」
「土屋くんと出張行くと付き合ってくれるから好きよ、今の若い子はすぐ帰っちゃう」
「僕もまだ若いつもりなんですが」
敦美は下を向いて声を出さずに笑っていた。
「院でてるから他の同期達とは違うでしょ」
「でもまだ新人ですから」
料理を土屋くんの前に置くと足袋をつんつんされる。
「成績どんどん抜かれてる中堅が悔しがってるわよ、何でそんなに優秀なのかねー」
「いえ、全然まだまだです」
敦美は土屋くんの指をギュッとテーブルの下で握ると握り返された。
夏海さんと喋ってるのに器用だな(笑)
「失礼します」
みづほ姉ちゃんが挨拶に来た。
私は1度下がってお酒を持ってくることに…
土屋くんは優秀なのか、そうだよね、何でもできそうだし、自分が褒められた訳でもないのに敦美は嬉しかった。
「あっちゃん、何か嬉しそうだね」
厨房の大和くんに言われた。
「そうね(笑)」
お酒を持って部屋に向かう
あっちゃん、可愛いなぁ……
後ろ姿を大和は目で追っていた。



