大変だな、営業のお仕事も

「夏海さん……」

「土屋くんの教育係の人ね」

「うん……ずーーっと喋ってんの」

「仕事の話?」

「いや、普通の話もずーっとしてる、俺10日もあの人の話聞くのかな……」

「普段も一緒に回ってるの?」

「いや、もう7月から1人だな」

「ベテランさん?」

「30過ぎてるからまあベテランだけど、営業に来てからはまだ2年みたい、呑むのが好きみたいでさ、何かずっと誘われそう、今日は荷物を置く理由で帰れたけど」

土屋くんは体を横にしてきた。

膝枕をしてもらいたいようだ。

「話し相手いるよね、呑むなら」

背の高い土屋くんだから敦美は少し離れて頭の位置を合わせた。

「俺はゆっくり静かに呑みたい派、下田は?」

「私はどっちでもっていうか、スポーツ界は結構みんなでワイワイだから大人しく人の話を聞いてるかな、でも賑やかでも嫌ではない」

「居酒屋とか、俺も嫌いじゃないけどな」

「行く人だよね、合わすしかないよね、先輩だもの」

「だから、下田とゆっくりしたかった」

「そう、嬉しい」

土屋くんは話しながら指を絡ませてくる。



「来週の日曜日さ、体動かしたいからアクティビティに行かないか?」

ここ、と携帯で見せてきた。