「お酒は呑む?」

「ううん」

「呑めない?」

「少しは呑めるよ、でも今日は土屋くんが呑めないし」

「この前俺が呑んだから今日は下田が呑んでもいいよ、気にしないで」

どうしよう……迷ってしまう。

「……ワイン飲んだことないからよくわからないし」

「ソムリエいるから大丈夫だよ、経験してみたら?」

経験!確かにフランス料理なんて自分じゃ来ないものね

「じゃあ、少しだけ」

土屋くんはソムリエを呼んで、料理も注文してくれた。

「土屋くんはよく来るの?フランス料理」

「家族の誕生日にはここに来るかな」

「そうなんだ、慣れてるんだね、凄い」

誕生日のお祝いがフランス料理か……



「あのさ、下田は昼間の休みって決まってないの?」

「あるよ、ジムは火曜日が定休日で、週休二日制だからどこかが休み」

「それはいつシフトは出る?」

「月末くらいかな、用があればスタッフと被らなければ早めに言えば取れるよ、旅館の方は今は土日祝に助っ人に入ってる」

「……火曜日か……」



ワインが運ばれた。

「敬大様も呑まれませんか?」

名前!さすが常連さんなんだ。

「でも車なんだよ」

「この後はどこかへ行かれるのですか?」

土屋くんは私を見た。