「もしもし……」

低い声がした。

直接話している時より低い声だなと耳から聴こえる低音に1人で照れていた。

「ごめんね、電話くれてたんだね」

「うん、用事終わった?」

「用事?」

「そう、今日は用事があったから会ってくれなかったんだろ?」

用事というほどでもないんだけど……


「お祝いしたかった……」

「えっ?」

「25歳の誕生日、おめでとう」

「あ、ありがとう」

びっくりした……


「彼氏……」

「え?」

「同窓会の時にさ、彼氏いないって言ってたのに、あれから出来たから今日会えなかったのかなって……」

「何?よく聴こえない」

土屋くんの声は段々小さくなっていく。

「彼氏ができて会えなかったのかなって」

「……いないよ、何でそういう事聞くの?」

「ごめん……」

「うん…別に怒ってるんじゃないからね、電話ありがとう」

「明日、大丈夫?」

「……まあ、また遅い時間で悪いけど」

「家には何時に帰る予定?」

「大体9時半くらいかな」

「明日は俺が迎えに行ってもいい?」

「車あるの?レンタカーとかなら私が車出すよ」

「大丈夫」

「呑まないの?」

「明日は…うん、呑まない」

「じゃあ…お願いします」

「うん……」