「僕も手伝います」

大和くんが言ってくれた。

「大和は明日の朝の仕込みがあるだろ」

調理場の先輩が言う。

「でも、若女将が2人分運ぶのは大変ですよ」

「お父さんが運ぶよ」

「でも、今日は朝から手伝ってもらってるので」

「大丈夫だよ、仕事は休みだし、敦美が車で来てないから泊まって朝に連れて帰るよ」

「ありがとう、お父さん」

「いやいや、たまにだから気にしないで」



21時になり夕食を運ぶ時間になった。

「失礼します、夕食でございます」

はーいと女性の声が聞こえた。

部屋には女性一人しかいなくて、もう一度料理を運ぶと奥から男性が出てきた。

「夏海(なつみ)さん、ご飯はいいって言ったはずですよ、こんな遅くに迷惑です、HOTELじゃないんですから」

浴衣を着た男性がテーブルに座った。



この声……土屋くん


「でも出来るって言ってくれたから、だってここの料理、ネットで評判よかったから食べて欲しくて」

「料理の説明をさせていただきます……」

「しも……」

「本日の…………」

土屋くんの言葉を遮ってしまって料理の説明を始めてしまった。

自分が何を話したのか全く記憶がない。

料理の説明はちゃんと出来たかな