宿泊してるなら普通に入っても良さそうなのに……

きっと服が汚れてたから気を使ってくれたのかな

エレベーターに乗ると2階の大ホールにとまる。

ボタンを押していてくれて私が先に出る。

「あっ」

転げそうになった。

「おっと、大丈夫?」

「ごめんなさい、ヒールに慣れなくてつまづいちゃった」

後ろから腕を引っ張られてなんとか転ばずにすんだ。

「もう、今日は10年分の私のドジさを土屋くんに見られた気がするよ、恥ずかしい……」

「うん、下田ってこんなだったっけって凄く昔を思い出してる(笑)」

「やめて、恥ずかしい」

敦美は真っ赤になる。

「まあ、可愛い面もたくさん見れたし」

どう返事すればわからなかった。

「私、受け付けしてくるね、本当にありがとう」

「あっ、受付は……」

土屋くんの声は敦美には届いてなかった。

足早に1階に降りて、敦美は8組の所に立っていた谷口くんに挨拶をした。

「下田です。谷口くん幹事お疲れ様」

「おー、久しぶり、受け付けは終わってるよ」



「え?」

「敬大から聞いた」

キョロキョロと土屋くんを探したが姿が見えなかった。

「でも、会費払わなきゃ」

「もらってる」

そんな……困る