「まあ、弟はまだ学生なんで……もっと試合に出ないとです(笑)」

「実は母さんは元プロゴルファー」

「え、凄っ、あっすみません」

「そんな有名じゃなかったからプロで食べていくにはやっぱり大変な世界よ」

「でもまずプロになる事も大変ですからやっぱり努力はされていたかと……」

「父さんはプロゴルファーのお母さんのファンだったのよね〜」

諒夏さんが話してくれた。

「キャッ、素敵です!」

敦美は小さく拍手をした。

「大会の前夜祭とかで出会ったんですか?」

「まあ……パーティーだな」

お父さんも照れながら話してくれた。

「結婚と同時に引退したのよ、お父さんとの趣味に変えたの、敦美さんと回るの楽しみだわ」

「素敵です!足を引っ張らないように頑張ります」

「リラックスして回りましょ」

優しくほほえんでくれた。



みんな優しい……

ん?隣でムスッとしている土屋くん、珍しいな

「どうしたの?」

小さな声で聞いてみた。

「敦美が取られる……」

ぷっ……可愛い

親にヤキモチ妬くなんて

「仲悪いのがいいの?」

「いや、ごめん、変な事言った」

「私、ちょっと御手洗に、失礼します」

2階のトイレを教えてもらい鏡で口紅を塗り直す。

ふぅ……お腹1杯になってきた。