「ん?あっちゃん、急にどうしたの」

負けず嫌い関係あるの?と加奈ちゃんに言われる。

「スポーツやってんだからそれはしょうがないよ」

谷口くんは変なフォローはいるし……


つまり、何が言いたいか……

「だから土屋くんにも負けたくないの、優しくされるばかりじゃ嫌なの、全部奢られるのも、向こうだけ帰ってくるのも」


「なるほど、スイッチが入っちゃったんだ」

「あっちゃん、恋愛って勝負じゃないんだよ(笑)やられたらやり返すみたいになってんじゃん」


「あ……そうだね、私ったら」

「まあ、下田は敬大に何か返したいってことだろ?」

「そう、谷口くん、凄い」

「でも将来の事を考えるんなら敬大の生活には慣れなきゃいけない、社長夫人だぜ」

「金持ちだもんね」

「だから本村が言うなよ(笑)」

「そこまで気負う事ないよ、あっちゃん!」

「そう?」

「そうそう、敬大に甘えとけばいいんだよ、男はそれで満足するんだから」

「甘えるのが苦手だからな〜」

「2人のペースでいいと思うよ、敬大は今1番浮かれてるだろうし(笑)」



入り口のドアが開いた。

「いらっしゃいませ」



朋絵ちゃんが入ってきた。

「暇だから毎日くるんだ」


小さな声で谷口くんは私達に呟いた。