エレベーターが到着してドアを押さえてくれた。

「ありがとうございます」

ぺこりと頭を下げてドアが閉まる。

「ぷっ」

「何?」

「いや可愛いなと思って(笑)」

「でも言われたら嬉しいでしょ?」

「まあな」

10階についた。


「この前来れなかったから、残念がってた」

「え?誰が?」

ドアを開けると谷口くんの姿が見えた。

「え?え?」

土屋の袖を引っ張る。

「いらっしゃいませ」

2人はカウンターに座った。

「ここで働いてたの?」

「うん、敬大から聞いてなかった?」

「うん」

「驚かせたくて(笑)」

「ごめんね、この前ワインで眠くなっちゃって」

敦美は両手を合わせて謝った。

「いいよ、今日は何呑む?」

「あまり強くないものがいいな」

「カクテルとか?」

「呑んだことないの、テレビとかでみると綺麗よね」

「じゃあ、テレビで見た事あるようなものにしようか(笑)」

谷口くんは液を入れてシャカシャカし始める

「わっ、凄い初めて見る(笑)」

敦美の前に置かれる。

「わー、可愛い」

「カクテルには意味があるんだ、これはスタンダードにスクリュードライバー、意味はあなたに心を奪われました……敬大より」

「キャッ、素敵」

「そんなキザなことできねーよ」