もし、この初恋が叶ったら


テストは、手応えがあった。


どの教科も、高得点を狙えそうだ。


しかし、小野寺に関しては手応えがなく…


テストが終わった後も、京香は何度か小野寺と話せるよう声を掛けてみたが、いつものような反応をしてくれない。


小野寺は明らかに京香を避けていた。



――なんでよ。昔からの付き合いのある友達を、理由も知らせずに急に無視するなんて、ちょっとひどいんじゃない?


──今回のテスト、学年1位とれる自信あるわ。テストの結果が出たら、ぎゃふんと言わせてやる!!



そう心に誓い、迎えた、テスト結果の発表日。


「じゃあ、テスト結果を渡すぞー」


クラスの担任が、1人ずつ名前を呼び、テスト結果の書かれた用紙を配る。



「つぎー、美都ー」


「はい」


ドキドキしながら結果を受け取る。


「頑張ったな。」



結果を渡される前にそう言われ、学年1位を確信した。



席に戻って、結果を見てみると。


500点満点中、482点。


順位は…2位だ。


──え?


ドクン、と胸がざわつく。


いつもなら学年1位でもおかしくない点数。



一体、誰が…


「学年1位は小野寺だ。他にも何人か学年上位に入っている。うちのクラスは成績優秀者がたくさんだったぞ。みんな、よく頑張ったな!」


担任の言葉を聞いて、愕然とした。



小野寺が…1位?



自分以上の点数を小野寺が取っているとは思いもしなかった。



──すご。



ここまでくると、そう思わざるを得なかった。


この日から、小野寺の株は一気に上昇した。


成績優秀、スポーツ万能、高身長。


加えて、急に幼さが抜け、端正な顔立ちになったと言う女子が増え、人気急上昇。


すっかり、モテオトコと化してしまった。


小野寺の周りには、いつも女子が数人、寄ってきていた。


そのせいもあってか、小野寺との距離が日に日に遠ざかっていった。



焦る。



このままでは、小野寺と話すことができなくなるかもしれない。


そんな不安を払拭するため、京香はついに、強行手段に出ることにした。