メッセージアプリで報告した昔からの友人たちも、

『おめでとう!姫!』

『姫、本当に王子と結ばれちゃったんだね!!』

と揶揄いの祝福メッセージがきていた。

沙彩の言うように、『姫』という呼び名はよほどみんなの記憶に残っているらしい。

これは今でも『姫』と呼ばれているとは言いづらいな。

さすがにみんなドン引きだろう。

「まあ、千紘くんとなら幸せになれるでしょ。
その点は心配ないな」

「どうしてそう思うの?」

「千紘くんは遥が誰よりも何よりも大事なんだよ。
子どもながらにそれは理解できた。だから大丈夫」

単純かもしれないけど、一番の親友である沙彩が大丈夫と言うと大丈夫のような気がしてくる。

沙彩はコーヒーをビールのジョッキのように掲げ、意地悪な笑みを浮かべる。

「王子と末永く幸せにね、姫」