火傷で救急搬送され、しばらく入院したあと私は保育園に戻った。

だけど『見られたらみんなに嫌われる。気持ち悪がられる』という思考は幼いながらに働いていて、人に見られないよう細心の注意を払って生きてきた。

小学校にあがっても、水泳の授業は見学。体育の着替えはトイレ。制服の夏場のカッターシャツの時は必ず透けないようにタンクトップを着ていた。

母でさえちゃんと見たことはないのだ。

今の母は、父の再婚相手…私が小2のときに母になった人だから。

「…姫。俺は姫の全てを愛おしいと思っている。どんな跡が残っていたとしても、気持ち悪いなんて絶対に思わない。
もっときちんとした形で迎えに来るつもりだったから、急で姫を戸惑わせてしまったのはわかっている。
だけど、綺麗になった姫を他の誰かにとられる前に俺のものにしたい。
…ダメか?」

心臓の音がうるさくて、千紘の顔をうまく見れずに俯いた。

ストレートに気持ちを伝えてくれる、大人の千紘。

綺麗になっただなんて。千紘はすごくカッコよくて頼もしくなったよ。

引っ越すときのおままごとみたいな約束を千紘はちゃんと覚えていて、本気で叶えようとしてくれている。