「……その物の怪の弱点は、雷だ」

俺が色んな攻撃魔法を放っていると、聞き慣れた声が空から降ってきた。俺の目の前に、ノワールが着地する。

「皆、ごめん。遅くなった……全部、思い出したよ！メルのおかげでね」

俺の方を向きながら、ノワールは微笑んだ。その笑顔は、どこかスッキリしたように見える。

「メルは、遅れてくる。リオン、雷を物の怪に向かって放って！」

ノワールの言葉に俺は「分かった」と言うと、弓に矢を番えた。矢に、雷を溜める。雷を溜めて物の怪に向かって放つと、矢は物の怪を貫いて飛んでいった。

物の怪は消えていって、物の怪のかけた魔法が解けたのかエリカとシャルロットは立ち上がる。

「……よし。倒せたね」

ノワールは、いつもの笑みで俺を見た。エリカは「先生！良かった……」と安心したような顔をしながら、ノワールに近づく。

……そもそも、メルは何で2人きりにさせて欲しいって頼んだんだ？……物の怪がいたから、俺らを先に行かせた？いや、メルなら「心配だから」って着いてきそうだ……ノワールを引きずって。なら、何でだ？

「リオンさん、そんな何かを考え込むような表情をしてどうしたんですか？」

シャルロットの声が聞こえてきて、俺は顔を上げた。いつの間にか、俺は地面に視線を落としていたから。

「いや、何でもない」