それから4年。
桃は優秀な秘書になった。
創介や会長との関係もあり時々わがままを言うが、桃がいなければ今の創介の仕事は回らないだろう。
そのくらい確実に正確に仕事をこなす頼れる存在だ。

「隼人、私は上がったからどうぞ」
シャワールームを出た桃が声をかけてきた。

「ああ、わかった」

優秀な部下であると同時に、親友の妹で一条コンツェルンの孫娘。
俺だってとんでもない娘と関係を持ったものだと思っている。
親友である創介にさえ言えないような秘密の関係なのも理解しているが、この気持ちを止めることはできなかった。
そこに後悔の思いはない。

「あ、お母さんからだわ」

髪を乾かし終わった桃がリビングでスマホを見ている。
さっきお母さんから来たメッセージを確認しているのだろう。

「今夜は早く帰れそうか?」
心配してくださっているお母さんに申し訳なくて、桃に確認してしまった。

「んー、夕方から来客の予定だから、7時は過ぎるかも」
「そうか、俺が早く終われば代わってやるからできるだけ早く帰れ」
「うん。ああ、でも、優也さんに仕事の流れを説明してほしいって頼まれていたんだったわ」
「そんなの時間内にやれよ」
「そんな・・・無理言わないで」

プッと口をとがらせて見せる桃がかわいくて、俺は抱きしめたい衝動を抑えるのに必死だ。