普段と違うロマンティックな空間が気分を高揚させたのか、隼人の中で何か心境の変化があったのか、その夜の隼人はとてもワイルドだった。

激しく、強く、私を求め続ける隼人は全身にキスの雨を降らせ、私の弱点を見つけては攻めてくる。

「あ、ちょっ・・・はやと・・・待っ」
お願い待ってと何度か止めようとする私の声など一切聞いてはくれない。

「桃は俺だけは見ていろ」

それは、苦しそうな表情の隼人からこぼれ出た言葉。
私には言葉の真意を聞き返す余裕もなかった。
そのうちに、まるで何かを忘れるためのように一心不乱に向かって来る姿が愛おしくなって、私も隼人の背中に手を回した。

この時、私は隼人に何かあったのだろうと気付いていた。
それが仕事上のことなのか、プライベートのことなのか、理由はわからないけれど、隼人は心配事を抱えている。
それがわかっていても私はどうすることもできず、ただ隼人との情事に身を任せるしかなかった。