自宅に連れ帰られた私が、再び隼人と会うごとができたのが二日後の昼。
その時になって、私はやっと隼人と二人で話をすることができた。

「妊娠は事実なんだな?」
「うん、今4ヶ月です」

「いつ分かった?」
「1ヶ月くらい前」

「なぜ、俺に言わなかった?」
「それは・・・」

「このまま黙っているつもりだったんだよな?」
「うん、まあ」
「見合いの席に出てきたってことは、もしかして子供を・・・」
「違うっ」
子供を産まないつもりだったのかと聞かれた気がして、慌てて否定した。

「私は一人で育てるつもりだったわ。お見合いにも行くつもりは無かったの。でも、家を出るチャンスがないまま当日を迎えてしまって」
私はちゃんと出産して、子供と暮らしていく準備だってしていた。

「そもそもそこがおかしいんだ。子供は桃一人の物じゃない。俺は父親だぞ」
「だって・・・」

私だって、一度は話そうとした。
ちゃんと相談しようとしたけれど、隼人が退職すると聞いて話すタイミングを失ってしまった。
でも考えてみれば、私の行動は隼人の気持ちを考えない独りよがりなものだったのかもしれないな。

「ここに俺たち子のがいるんだな」
そっとお腹にあたられた手から、温もりが伝わってくる。

「黙っていて、ごめんなさい」

子供から父親を奪うなんて最低の母親だった。

「俺こそ、不安にさせて悪かった」

隼人が目の前にやって来て、そっと私を抱きしめた。