「え?」

リオンが、戸惑ったような声を出す。

「ねぇ、皆。あっちから、物の怪の気配がする。先に行ってて。2人きりで話がしたいんだ」

僕の言葉に、リオンは考える仕草を見せた。そして、リオンは頷くと「分かった。皆、行くよ!」と言って物の怪のいる方角に走っていく。

「おい!待て!」

「リオンさん、カズさん。待ってください!」

リオンを追いかけて走っていくカズの後を、シャルロットが追いかけていった。エリカは「メルさん。頼んだよ!」と言うと、シャルロットの後を追いかける。

「……よし」

皆の姿が消えたことを確認して、僕はノワールと向き合った。

「久しぶり……かな?修也」

僕がノワールの前世の名前を呼ぶと、ノワールは「どうして……」と驚いた様子で僕を見る。

「僕は、藤村零だよ。こんな姿をしてるけど」

僕が前世での名を名乗ってから微笑むと、ノワールは「え?」と僕を見つめた。

「会いたかったよ、修也」

僕は、ノワールを抱き締める。今の、修也の記憶しかないであろうノワールに、必要だと感じたから。

「……本当に、零なんだね……?…………僕、弱いから……本当は助けて欲しいのに、助けを求められないんだ。笑顔を作って、必死に辛い気持ちを隠して……大丈夫じゃないのに、大丈夫って笑って……」