次の日。
恵真は大和と海沿いのランニングコースを走っていた。

海風を浴びながら、砂浜に長く続く道を走るのは気持ちがいい。

海上にせり出したサンタモニカピアには、ルート66の最終地点を示す看板もあり、多くの観光客でにぎわっている。

明るい陽射しに広い空、恵真は胸いっぱいに空気を吸い込んだ。

「ほら、どうした?もっとスピード上げろ」

少し先を走る大和が、振り返って恵真に叫ぶ。

「ちょ、佐倉さん!私、こう見えてれっきとした女子なんですけど!」

恵真も負けじと叫び返す。

「パイロットに男も女もあるか!ほら、ついてこい!」
「パイロットに足の速さは関係ありません!」
「つべこべ言うな!キャプテンの命令だ!」
「くーっ、この鬼キャプテン!」
「そんな減らず口を叩く余裕があるなら、さっさと走れ!」
「なにこの体育会系ー!私、文化部だったんですってば!」

やいやい言いながら走り、ようやく大和が休憩を取った。

ぐったりと座り込む恵真に、近くのワゴンで買ったドリンクを渡してくれる。

「ほらよ」
「あ、レモネード!大好きなんです、私。ありがとうございます」

一気に半分飲み干し、あー!と声を出す。

「お前、オヤジか?それビールじゃないぞ」
「だって美味しいんですもん」

ふふっと笑う恵真に、大和も頬を緩めてから海を眺める。