「おぅ」



後ろ髪引かれることなく、私を送り届けた彼は片手を振ると私が貸した傘をさしながら帰っていく。




彼の髪が黒髪じゃなくて、黒髪に金メッシュが少し交じっていたことに今更気がついたのは、明るい場所で彼を初めてじっくり見たからだと気づく。




……あーもうだめじゃん、私。



もう戻れない。



鬼頭くんを知らなかった私に。