いい?ちゃんと覚えておいてね。



大切な人と綺麗なものは同じなの。



この共通点、わかる?



答えはね、



儚く、脆く、壊れやすいの。



無くしちゃう前に、しっかりぐっと握っておくんだよ?



わかった?








何度も何度も思い出す、もう何年前の台詞。



なぁ、俺は一体どうしたらいい?



真夜中のコンビニの光を浴びて反射する、歩くのがだるくてわざわざ免許とったバイクが、俺を支えながらキラキラ光っている。



……あーほんと。



「さみぃな……」



俺の声は誰にも届かず、吐いた息が白くなって消える。



手に持っていた、もう熱を逃がしてしまった缶コーヒーを仰ると、もう一度夜空を見上げる。



……なんも、見えねぇな。