私が何も答えずに俯いてしまうと、妹尾くんはそれを見て察したのだろう。

「違うって言ってくれよ~~」

 頭を抱え、へなへなとその場に座り込んでしまった。

「妹尾く……」
「だってさ~、俺あいつにすげぇ酷ぇこと言いまくったし、てか、本人に向かって推し自慢したりとか俺マジ恥ずかし過ぎん?」

 見れば、妹尾くんの顔は真っ赤になっていて。

「ご、ごめん……」
「……いや、謝んないで。りっかちゃんは悪くない。推しに気付けなかった俺が悪い」

 そう言って彼はゆっくりと立ち上がり、まだ赤い顔で私に訊いた。

「で、あいつから連絡は?」

 首を振る。

「今日は、まだ……」

 妹尾くんが溜息を吐く。

「きっと向こうも今頃騒ぎになってんだろうな……てかあいつ、学校どうすんだろ」
「え……?」
「それでなくとも最近よく休んでんし、学校にバレたらマズくないか」
「あ……」

(そうだ。最悪、退学……)

 さーっと青くなる。
 と、そのとき朝のHRの予鈴が鳴った。

「とりあえず、教室行こっか」
「うん……」

 そうして私たちは教室へと向かった。

 ――でも。

 教室に足を踏み入れた途端、クラスの皆の視線が私に集中するのがわかった。