――こうして、軽音部の学祭に向けての練習が始まった。
 昼休みと、放課後に少し。
 そして休日も出来る限り参加するようにした。

 奏多くんは本当に学校を休みがちになって正直寂しかったけれど、夜寝る前の通話だけは毎日欠かさなかった。

 日々が、驚くほど早く過ぎていった。



 ――そして、その日は唐突に訪れた。



 朝、ひとり登校すると校門前に人だかりが出来ていることに気が付いた。

(なんだろう……?)

 近づいていくと、カメラを首から掛けている人と、どう見ても学校とは無関係そうな女性が多くて、なんだか嫌な予感がした。

(まさか……)

 顔を俯かせて、私はそそくさと校門を抜け昇降口へと入った。
 下駄箱の前で慌ててスマホで検索してみる。

 すると――。

『Kanataの正体は現役高校生!?』

 そんな大きな見出しと共に、うちの制服姿の奏多くんの写真が目に飛び込んできて、私はその場に愕然と立ち尽くした……。