「そう、良かったね」
「うん!」

 バイト帰り、今日も迎えに来てくれた奏多くんは私の話を笑顔で聞いてくれた。

「でも皆して見に来るっていうんだよ~」

 苦笑しながら話すと、彼は笑った。

「それは頑張らないとだ。……実は俺もね、少し大きめの仕事が決まりそうなんだ」
「えっ、そうなの? どんなお仕事?」
「メンズ化粧品のCM。テレビでも流れるって」
「凄い! え、テレビで奏多くんが見られるってこと!?」

 つい大興奮してしまう。
 雑誌やネット上ではもうかなり有名なKanataだけれど、やっぱりテレビは格別な気がした。
 でも彼はなぜかあまり嬉しくなさそうだ。

「他にもいくつか大きめの話が来てて、だから、こうしてお迎えにくるの少し間難しくなるかも」
「え……」
「学校も、もしかしたら休みがちになるかもしれない」
「!」

 それを聞いて、しおしおと興奮が冷めていくのを感じた。