「って、小野さんじゃん」
「あ、新居さん!」

 ほぼ同時に名前を呼び合った私たちを見て妹尾くんが「あれ?」と首を傾げる。

「知り合い?」
「一年のとき同じクラスだったんだよ。ね?」
「うん」

 新居さんが先に答えてくれて私は頷く。

「なんだ、そりゃ良かった!」

 妹尾くんが嬉しそうに笑う。
 私も知っている子がいて少しほっとする。

(そっか、新居さんて軽音部だったっけ)

 ――新居鈴子(あらいすずこ)ちゃん。背が高くてクールでカッコイイ女の子だ。
 一年のときあまり話したことはなかったけれど、ドラムスが良く似合うと思った。

「んじゃ鈴子の紹介はいいとして、こいつはベースの植松笙真(うえまつしょうま)ね」
「よろしくねー」

 植松くんにフレンドリーに手を振られ私はぺこりとお辞儀をする。

「よろしく。小野律花です」
「――で、そいつはなに?」

 新居さんが私の後ろに立つ奏多くんを睨むように見つめていた。

「……」
「あー、こいつは……見学?」
「見学?」