「今日はほんとごめん。つまんなかったでしょ」
落ち込んだ様子で何度目かの謝罪をされて私は首を横に振る。
「ううん。奏多くんがいっぱい眠れて良かったよ」
「本当にごめん」
結局、彼は日が暮れるまでぐっすりで、起きてからずっとこの調子だ。
そしてまだそんなに遅い時間じゃないけれど、私を家まで送ってくれていた。
「りっかが傍にいると安心するっていうか、普段じゃ考えられない眠気が襲ってきて」
「あはは、私の安眠効果凄くない?」
笑いながら言うと、奏多くんは溜息を吐いた。
「はぁ。なんかすごく損した気分だ」
「え?」
「折角二人きりだったのに、りっかにもっと触れたかったな」
どきりとする。
(……私だって……)
うちのアパートが前方に見えてきて、私は思い切って口を開いた。



