離れた唇がそのまま首筋に下りてきて、くすぐったくて小さく声が漏れてしまう。

「んっ」
「……」

 ――でも。

「……? そうた、くん?」

 そのあと動かなくなってしまった彼を横目で見て私は愕然とする。

(ね、寝てるーーーー!?)

 すぐ横で気持ちよさそうに静かに寝息を立てている彼を見て、一気に脱力する。

(はぁ~~、ひとりドキドキしてバカみたい……)

 でもその無防備な寝顔を見て苦笑する。

(まぁ、仕方ないか)

 私はその額に起こさぬよう軽くキスを落とす。

「おやすみ、奏多くん」

 そして、私もそんな彼にくっついて目を閉じた。

 ……こんな穏やかなおうちデートも、悪くないかもと思った。