「!?」

 ボっと顔が熱くなった。

「え、えっと、でもまだ、その、あー、こ、心の準備とか色々と……」

 私が自分でもよくわからない言葉を発している間に、彼はメガネを外し色気駄々漏れの良い顔でこちらを見下ろしてきた。

「好きだよ、りっか」
「――っ!」

 彼の幸せそうな微笑みを見て、私は息を呑む。

(ズルいよ……)


 ――そんな顔されたら、拒めない。


 優しいキスをされて、私は彼の背中に手を回す。

「私も、羽倉くんが好き」
奏多(そうた)って呼んで」

 そうお願いされて、ゆっくりとその名を口にする。

「奏多、くん……?」
「うん。嬉しい」

 本当に嬉しそうに彼が目を細めて、もう一度、今度は少し長めの深いキス。

 ……ドキドキする。

 緊張はどうしたってほぐれないけれど、この胸のドキドキが今はとても心地良く感じた。