結局、4時間目が終わっても羽倉くんは教室に現れなかった。

(はぁ……また授業集中できなかったな)

 私は溜息を吐きながらスマホを手に取り、目を見開く。

(既読になってる!)

 そして丁度そのとき、メッセージが届いた。

『昨日はごめん。今夜、会いに行く』

 それを見てほっと胸を撫でおろす。

(訊きたいこと、いっぱいあるけど……)

 メッセージを打っていく。

『大丈夫? 無理しないでね』

 ――今夜会えるのなら、そのときに訊こうと思った。



(いつもなら、あの場所で歌ってる時間なのにな……)

 お弁当をいつもよりゆっくり食べながら羽倉くんの机を見つめる。
 何度目かの溜息を吐いてから視線を戻すと、すぐ横にまたも妹尾くんがいて驚く。

「び、びっくりした! なに?」
「寂しいオーラ、ガンガン出てる」
「え、うそっ!」

 指差されて焦る。
 それはめちゃくちゃ恥ずかしい。

「ガチで。ま、あいつが休むなんて珍しいよな。風邪?」
「う、うん、そうみたい?」

 曖昧に誤魔化す。