「まぁ俺は、公式が認めるまでは信じねーけど」

 私はそんな彼の言葉にハっとする。

「――そ、そうだよね」

 記事を取り上げているニュースサイトは、ガセも多くて有名なことを思い出した。

(そうだよ。まだわからない。信じちゃダメだ)

 そう自分に言い聞かせる。
 と、妹尾くんが少し嬉しそうな顔をした。

「あれ、もしかしてりっかちゃんもKanata推しだったり?」
「え!? えっと、推しってわけじゃないけど……かっこいいよね」
「わかるわー! あー、もしかしてりっかちゃんが羽倉を好きになったのって」

 ぎくりとする。

「いや流石にそれはないか。ま、いいや、あいつからなんか言われたらよろしくね~」

 そうして妹尾くんは手を振り去っていった。

 でもお蔭で、私は少し落ち着きを取り戻すことが出来た。
 小さく深呼吸をして、羽倉くんの机を見つめる。
 ……もしかして、この件で学校に来れないのだろうか。

(信じていいんだよね? 羽倉くん)

 祈るような気持ちで私はぎゅっと自分の手を握った。