「おまっ…!どんだけいるつもりなんだよ!てか家で読めるだろうが!」

「えぇ…。いいじゃん、別に」

「やば、こいつ…」



だるそうに返事をする碧葉に、私は冷ややかな視線を送ってあげた。

夏休みになってから、ずっとこうだ。

毎日来ては、食べてゴロゴロするだけ。

それも、私の部屋で。



「なんで私の部屋いるんだよ、ほんと。自分の家があるだろ。隣に」

「…別に良くね?」

「あのね…。暇だから、仕方なーく入れてあげてるけど!少しは自分の家にいたらどうなの?」

「…暑い。家は」

「冷房つけろ」

「ごもっとも」



くだらない言い合いをする私と碧葉に思わず呆れてしまう。

そもそもとして、なんでこいつは私の部屋にいるんだ…。

リビングにいるとかならまだわかるよ!?

なんで私の部屋なのかな!?

おかしいだろ!

本人には、絶対に言わない愚痴を心の中でこぼす。

それもそのはず。

こいつは私の幼馴染兼『好きな人』でもあるのだから。