しばらくすると大学病院の予約票とともに、紹介状、検査結果をコピーしたCD-ROMが入った封筒を手渡された。

緊急性を要するため、予約日は明日。

あまりにも急なことで自分自身も驚いているけれど、突発性難聴は発症から早期受診が必要だ。

明日、大学病院への受診が決まったことを糀谷さんにメッセージすると、『やっぱりね。 そうだと思った』との返信。
急遽明日から休むことも、了承してくれた。

そのまま、星七へのメッセージ画面を開いたけれど、手を止めた。


ーー星七には、黙っておこう。


彼女のことだ。 きっと、「自分も仕事を休んで付き添う」と言いかねない。
患者さんからの信頼も高く、仕事熱心な彼女の邪魔になることだけはしたくなかった。

そんなことを考えながらアパートまでの道のりをとぼとぼと歩いていると、手に持っているスマホが突然震えだした。

画面を見ると〝星七〟の2文字。

けれど、俺はその電話に出ることはせずに、そのままアパートへと向かった。


* * *

「今日から入院ですね」


……まったく。 
何からなにまで、予想通りだ。 入院準備をしてきて、正解だった。

すぐに入院するようにドクターから指示され、入院後、すぐに薬物治療が行われる予定だ。