さっきからドキドキが止まらなくて、目のやりどころに困ってしまった。

なんてストレートな告白なんだろう。
純粋で、嘘偽りないことがわかる〝好き〟という2文字。

梅沢先生に言われたときとは違って、彼の言葉なら不思議と信用できてしまう。

「星七」と呼ばれときも同じ。 梅沢先生に名前を呼ばれても、なにも感じなかったのに……彼に名前を呼ばれると、どうも胸の辺りがくすぐったい。


ーーあぁ、そうか。
これが〝好き〟という気持ちなんだ。


「遠山くん……私も、好き。 遠山くんが、好き」


無意識に遠山くんのことを引き留めたのも、こうして平気で自分の部屋に上がってもらっているのも、きっと〝彼が好き〟という気持ちが引き起こしたこと。

〝彼なら信用できる〟と、そう思ったんだ。


「やっと想いが届いた」


そう言って、ぎゅっと私を抱きしめる彼。
触れ合った場所から彼の心臓の鼓動が伝わってきて、遠山くんも緊張しているのを知った。

でも、私には少し気掛かりなことがある。


「私さ……不倫してたんだよ? あんまり……きれいじゃないよ」


好きになってもらえるのは嬉しい。
でも、やっぱり〝不倫していた〟という過去が付き纏ってしまい、そこが気掛かりだった。