私の思っていることを簡単に当てられてしまい、遠山くんは人の気持ちが読めるのではないかと疑ってしまうくらい。

だけど、いくら遠山くんが助けてくれたからといって、きっと今日は不安で眠れなかったと思う。
それくらい、1人になるのが怖かった。


「井筒さんのお役に立てて、光栄です」

「……そう? 迷惑かけてばかりだと思うけど」


助けてもらった挙句、いきなり「一緒にいて欲しい」と言う謎の女……。 普通だったら、迷惑極まりない。

それなのに、遠山くんはひとつも困った顔をせずに私のわがままに付き合ってくれている。
器の大きな男性とは、きっと彼のことを言うのであろう。


「いえ……井筒さんだから、助けたんです」


アイスコーヒーが入ったグラスを、ソファーの前にあるガラステーブルに置いた遠山くん。
真っ直ぐに私を見つめてくるきれいな瞳に、吸い込まれてしまいそうになる。

そのまま彼の顔が近くと、唇に触れるだけのキスをした。


「井筒さん、いい加減気付いてください。 俺は……あなたが好きなんです」

「……遠山、くん」

「不倫を止めさせたのも、今日助けたのも、星七が好きだから」


不意に〝星七〟と呼ばれ、どうしてなのか、胸がきゅんとなってしまう。
年下なのに私より余裕な感じがして、なんだか悔しい。