星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦

〝つまらない女〟って……なにもそこまで言わなくてもいいのに。
散々私のことを都合よく使っておいて、自分の思うようにいかなくなった瞬間こんな風に言われるなんて……。

悲しさと恐怖が一緒になって押し寄せてきて、蹲ったまましばらくドアの前から動けなかった。


「井筒さん！！」


大きな声で名前を呼ばれたとともに、勢いよく右腕を引っ張られる。　そのまま走り出すと、人気のない非常階段まで一気に駆け上がった。

ーーこの声は、遠山くん？
嘘だ。　そんなに都合よく、彼が現れるはずがない。


「……井筒さん、無事でよかった」


ぎゅっと私のことを抱きしめてくれる彼。　

突然のことでなにが起きているのか理解するのに時間がかかってしまったけれど、安心感からなのか、瞳からは再び大粒の涙が流れ始める。

〝無事でよかった〟って……。
その言い方はまるで、私が堀田先生との間になにがあっのかを知っているかのよう。


「井筒さん……大丈夫ですか？」

「……あ、ありがと」


大きなあたたかい手でそっと涙を拭いてくれた遠山くんは、とても心配そうに私のことを見ている。　薄暗い非常階段の中でも表情がわかるくらいだ。

私のことを心から心配しているということが、ひしひしと伝わってきて、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。